大宴会ってなぁに?

大宴会をはじめて、今年で10回目になる。快挙だ。んっ、本当に快挙だろうか?

いや、はじめて大宴会をやろうとしていた2人の姿を知っている者であれば、「よくここまで来たものだ。」と誰もが感慨深く思うに違いない。

 

何しろはじめに大宴会をやると言い出した2人(県職員の東海林くんと現会長の大輔くん)は当初、手書きのメモ用紙みたいなフライヤーをペラペラ持っていて、そこには「友達が欲しいなぁ〜…、とか、お酒を飲める友達がいなくて寂しい…、一緒にお酒を飲める友達が欲しい…。」みたいな、本人(会長)は大真面目にその文章をポエムだと言っていたけれど、おおよそポエムとは言えない文章が書かれたフライヤーを持っていて、みんなに「フェスやろうよ!」と吹聴していたのだ。その姿をみて僕は「本気なのだろうか?」と訝しがったことを今でもよく憶えている。

※後にそのポエムは毎年更新され、大宴会のステージで会長が朗読するというセレモニーは、たしか大宴会の5回目くらいまでは続いたのではないだろうか。僕はその事実を忘れる訳にはいかない。「会長は度胸がある。」そう思っていた。

ちょうど大宴会が始まったその年に僕は会津へ移住して来た。それまでバックパッカーをしていたり、ふらふらと生きていた僕は「会津ってどこだろう?」くらいな認識にも関わらず、旅をしていた時と同じように「辿り着いた場所が自分の場所だ。」くらいな呑気な気持ちで移住を決めた。けれども、友達も誰もいなかったから出会いを求めていて、東海林くんに誘われるまま大宴会に参加した。

 

はじめの2回目まではサポートのような関わり方だったけれど、3回目からは会場の装飾やワークショップの企画運営などを任されるようになった。そもそも美術大学を出て以来、ずっと表現活動を続けて来た。それでもなかなか自分自身が社会から認められないといったフラストレーションを抱えていたこともあって、自分の力を発揮できる大宴会という場がありがたかった。

会場の飾り付けをしている様子

 

僕はフェスなんて行ったこともなかったけど「フェスってきっとこんなかんじ?」と、行ったことがないからこそ想像を膨らませて作り上げていくことが、結果的に他のフェスにはないズレや、知らないからこそ行き過ぎちゃっている面白さが生まれているんじゃないかといった期待や予感があって、イメージを形にしていくことが楽しかった。

ステージの飾り付けをしている様子

 

さて、10年目を前に考える。「大宴会ってなんだろう?」

 

それはきっと作り上げていく過程からみると「自分の人生を楽しくしたいと思う人たちが集まる地域の文化祭」みたいなものかもしれない。たとえば僕が装飾を担当していた時には、毎年テーマを決めて、そのテーマに沿って会場のイメージを考えて、形にしていく。ワークショップが担当になった年は、ひとつひとつのワークショップを企画して、コーディネートしていく。※もちろん、他にも色々な担当や仕事があるけれど、ここでは僕が担当した部分についてのお話。

竹で作ったスタードームBARの中の様子

 

試しに、初年度から5年目までのワークショップを列挙してみるとこんな感じだ。(※下線が引かれている箇所はワークショップの講師所在地。)
第1回(2010年)南会津 •火起こし体験 •藁鍋敷き作り体験 •羊の糸紡ぎ体験 •藍染め体験昭和村•薪割り体験 •ご飯作りWS ☆トーク、南会津•長老に聞く「曲げわっぱと山椒魚獲り」の話•羊の糸紡ぎのお話 •昔語り

 

第2回(2011年)

南会津•昔あそび体験 •火起こし体験 •ドラム缶風呂•ターザンロープ

昭和村•からむし織体験•薪割り体験、只見町•エッグキャンドル体験

関東•7natures うさぎ

☆トーク、南会津•池谷純仁「食育の話」、関東•北山耕平「ネイティブアメリカンと福島」

 

第3回(2012年)

南会津•笹巻体験•昔あそび体験•火起こし体験•ドラム缶風呂 •ターザンロープ、喜多方市•山都町•命を頂くWS•ロケットストーブ実演、昭和村•ほうき作り体験、三島町、縄綯い体験、那須・スタードーム作り体験、関東・葉っぱでお絵描き・レイ作り体験、☆トーク、京都・冨田貴文「暦の話」、南会津・池谷純仁「食育の話」

 

第4回(2013年)

南会津•スプーン作りWS•サイクリング•昔あそび体験•藍染め体験•焚き火で棒パン作り•火起こし体験•ターザンロープ、三島町•ヤマブドウ蔓細工体験、昭和村•ほうき作り体験、喜多方市•山都町 •糸紡ぎ体験•ジャンベ(前夜祭演奏)、

新潟(上•中•下越)•塩炊きWS、☆トーク、京都•南会津•塩の話「冨田貴文×渡部康人」、郡山市•福島市•peach heart「女子カフェトーク」

 

第5回(2014年)

南会津•南郷刺し子(南郷地域)•スプーン作り体験•昔あそび体験•大宴会ポタリング(サイクリング体験)•火起こし体験•ドラム缶風呂•ターザンロープ、昭和村•ほうき作り体験、三島町•山ブドウ蔓ストラップ体験、柳津町•木製アクセサリー作り体験、喜多方市•山都町•森デコ(生け花)、那須•竹細工「八木澤竹芸」

☆トーク、三島町•マタギの話「熊との死闘」

 

といった具合に、年々エリアも拡大して、会津を中心として地域の色々な活動をしている方々が大宴会を通じて繋がっていった。

 

そう、大宴会とは何か?9年の軌跡を振り返った視点で見ると、それはきっと「関係性を作るためのツール」だったのだ。

 

運営する我々は、大宴会当日に向けて、休日にみんなで集まり、ワイワイと話をしながら装飾物を作ったりする。お金はないからダンボールや山の草木などを採ってきて、ブリコラージュしていく。大宴会のスタッフはみんなボランティアで、強制されてやっている訳ではないから、みんな気楽に作業を進める。まぁ、それなりに任されているスタッフはプレッシャーを感じることもあるけれど、それでも好きでやっているからキツくても楽しい。そして、会議や作業の後には酒を飲む。そうやって自然とお互いのことを分かり合い、仲良くなっていく。

 

一方で、当日出店やワークショップなどで参加してくれる会津を中心にお店や様々な活動をしている方々とは、1年に一回、大宴会の時に結集して、後夜祭などを通じて、それぞれが知りあい、繋がっていく。

 

普通、行政のイベントなどでは、イベントの成果を図る指針は、来場者数だ。けれども、大宴会の目的は、来場者数を増やすことではない。もちろん、自立した運営を続けていくための来場者数は必要不可欠だけれど、あくまで大宴会を開催する目的は「自分たちが楽しみたいから。」なのだと思う。誤解を恐れずにいうならば、お客さんのため以前に、自分たちのためなのだ。もちろんお客さんに満足してもらえるホスピタリティーについては意識しているし努力もしている。けれども、そういった努力を何のためにしているのかといえば、自分たちが大宴会を作り上げるという行為を通して、気心が知れた仲間を作り、人生や地域を豊かにしたいのだ。

 

そんなこともあって、今年の来場者数も最大で777人までと決めている。そのスケールが自分たちが楽しみながら運営できる最大の人数であり、来場してくれたお客さんたちにとっても、のんびりと過ごせるちょうど良いスケールだからだ。

 

僕が大宴会に参加して今年で10年を迎える。見ず知らずのこの場所で、知り合いが1人もいなかったこの場所に、今では何かあった時には本気で助けに行きたいと思っている仲間ができた。

 

自分たちが住む地域へ観光地や大型芸術祭のように外部からの人を沢山呼び込むことだけが、必ずしも地域を盛り上げるイベントやお祭りをやる意味ではないはずだ。もちろん、もう少し人を呼び込まなければならない現実もあるけれど、それ以前に、僕らがこの地域で生きていくことを楽しむ仕掛けを作り、その結果出来上がってくるコミュニティの「楽しそうな雰囲気」こそが、地域に人を呼び込む最大の力になるはずだ。

 

さて、今年もいよいよ。10回目の「大宴会in南会津」も楽しみましょう♪

 


この記事を書いたのは

三澤真也(みさわしんや)

1979523日、長野県諏訪市生まれ。武蔵野美術大学造形表現学部映像学科卒。一般社団法人 地域づくりのアトリエ ソコカシコ 代表理事。2017年6月に福島県奥会津・三島町にオープンした縄文遺跡の上に建つ「ゲストハウス ソコカシコ」 オーナー。大学卒業後20代は絵画、映像、パフォーマンスを中心にアート活動を展開。2014年から3年間福島県の森林文化をテーマにした「森のはこ舟アートプロジェクト」に三島町エリアコーディネーターとして参加し、その最終年度のプロジェクトとして古民家をアーティストと共にリノベーションし、「ゲストハウス ソコカシコ」として運営を開始。現在に至る。

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